基本情報
ヌードギャラリー
川島なお美
ヌード解説
主演の川島なお美の体当たりの演技、特に大胆なヌードシーンによって大きな注目を集めました。
覚悟と芸術性の狭間で
川島なお美は芸能人として新たなステージを目指していた30代にヌードという表現に果敢に挑戦しました。
写真集での鮮烈なヌードデビュー以降、テレビドラマ『失楽園』そして本作『鍵 THE KEY』と惜しみなくその肢体を披露し、彼女ならではのパフォーマンスで一躍時代の寵児となったことは記憶に新しいです。
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川島なお美 写真集 『 WOMAN 』 - 1993/8/10
川島なお美写真集『WOMAN』がデジタルリマスター版で復刻!
ワニブックス創立40周年記念企画累計55万部を突破し、写真集史に金字塔を打ち立てた『WOMAN』。
川島なお美さんが、1993年に出版した写真集が電子書籍で甦りました。
当時、紙の写真集で見ていた方も、まだ見たことがない方も必見です!
本作におけるヌードシーンは、1990年代の日本映画界においてまだタブー視されることの多かったヘアヌードに踏み込んだ点で特筆されます。
特に物語終盤、病床に伏せる夫を誘惑するために、着物を一枚一枚するりと脱ぎ捨て、真っ白な肌と陰毛をあらわにするシーンは、その所作の一つひとつが計算され尽くしたかのような妖艶さを湛え観る者に強烈な印象を残します。

極限の美しさは、至高の芸術
当時の邦画シーンにおける陰毛表現はまだ発展途上であり、本作の描写は極めて挑戦的であったと言えるでしょう。
しかし川島なお美という一流の女優が演じることにより、単なるセンセーショナリズムに留まらずヌードとしての価値と映画的な美しさを両立させた表現へと昇華されている点は見事です。
本作には、大きく分けて二つのヌードシーンが存在します。
ひとつは先述したラスト間際の衝撃的なヘアヌードシーンです。
もう一つは、作品中盤に川島なお美が酔いつぶれて眠ってしまったところを、柄本明が衣服を剥ぎ取りすっぽんぽんを執拗に写真に収める場面です。
このシーンでは照明に照らし出された川島なお美の白い肌が眩いばかりの輝きを放ち、ヌードの美しさに限界はないことを改めて認識させられます。
「女は30歳を過ぎてから」という言葉がありますが、若さを保ちながらも成熟した色香を増した彼女のヌードはまさにその言葉を体現しているかのようでした。
これらのシーンは川島なお美のプロフェッショナリズムと、日活ロマンポルノ出身の池田敏春監督の演出手腕、そして前田米造による撮影技術が結実したものと言えるでしょう。
本作で見せたような輝かしい活躍の後、川島なお美が2015年に54歳という若さで惜しまれつつこの世を去ったことは、多くのファンにとって大きな悲しみであり彼女が遺した鮮烈な印象は今も色褪せることがありません。
谷崎文学の映画化と池田敏春の挑戦
本作の原作は、谷崎潤一郎が1956年に発表し、「芸術か猥褻か」という論争を巻き起こした問題作『鍵』です。
夫婦間の秘密の共有・覗き見趣味・エロティックな妄執といった原作のテーマは、多くの映画監督たちの創作意欲を刺激し幾度となく映画化されてきました。
1997年版を手掛けた池田敏春は、日活ロマンポルノでその名を知られ人間の内に秘めた情念やエロティシズムを描くことに長けた監督です。
本作においても谷崎文学の持つ倒錯的で不穏な雰囲気を、時にスタイリッシュに、時に生々しく映像化することに成功しています。
「暴力的官能美」とも評されるその演出は、単なる物語の再現に留まらず、登場人物たちの内面の狂気をえぐり出す力強さを持っています。
芸術性と商業性の交差点
本作に対する評価は、公開当時から賛否両論でした。
川島なお美のヌードの美しさや演技、池田敏春の演出を称賛する声がある一方で、原作の持つ文学的深みよりもすっぽんぽんを商業的な目玉とした企画であるという批判も少なくありませんでした。
この点は文学作品の映画化における永遠の課題とも言えるでしょう、原作への忠実性と商業的要請との間の緊張関係を浮き彫りにしています。
それだけ女性のヌードは魔力を秘めており、うまくシーンを練りこませた脚本を用意しないと、たちまちお色気B級映画のレッテル貼りの憂き目に遇います。。。

美しすぎるヌードは時として非難の対象へ…。
しかし川島なお美がこの難役、特にヌードシーンに果敢に挑んだことは彼女のキャリアにおいて極めて重要な意味を持ちました。
同時期に出演したテレビドラマ『失楽園』と共に、彼女は「脱ぐ女優」としてのイメージを確立しそのプロ意識と存在感は多くの人々に強烈な印象を与えました。
事務所の反対を押し切ってでもこれらの役柄に挑んだ彼女の覚悟は、本作のスクリーンにも確かに刻まれています。
また本作は1990年代後半の日本映画におけるR-15指定作品として、当時の映倫規定における表現の許容範囲を探る上でも興味深い事例と言えるでしょう。
自然で簡潔なフルヌード(R-15指定作品におけるヌードの定義)が文脈によっては許容されていた時代背景の中で、本作は文学作品の映画化という体裁を取りながらエロティシズムの境界線に挑戦した作品として位置づけられます。
本作が問いかけるもの
池田敏春監督、川島なお美主演による1997年版『鍵 THE KEY』は谷崎潤一郎の文学世界を大胆に解釈し、主演女優のセンセーショナルなヌードと共に倒錯的な愛と欲望の物語をスクリーンに焼き付けた作品です。
その評価は多岐にわたりますが、川島なお美という女優のキャリアを語る上で欠かせない一本であり、また1990年代の日本映画が模索したエロティシズム表現の一つの到達点として今後も議論され続けることでしょう。
本作が投げかける人間の性の深淵と愛の不可解さというテーマは、今もなお観る者に強烈な問いを突きつけています。