基本情報

| 作品名 | 村西とおる 狂熱の日々 |
| 公開日 | 2019年11月30日 |
| 監督 | 片嶋一貴 |
| 出演 | 村西とおる、本橋信宏、玉袋筋太郎、西原理恵子、高須克弥、松原隆一郎、宮台真司、片岡鶴太郎、卑弥呼、桜樹ルイ、乃木真梨子、野坂なつみ、沙羅樹、松坂季実子、黒木香、ミステリアス・K |
ヌードギャラリー
ミステリアス・K
企画女優の面々
ヌード解説
Netflixドラマ『全裸監督』シリーズで、その破天荒な生き様が再び脚光を浴びたAV界の帝王・村西とおる。
本作『村西とおる 狂熱の日々』は、彼の伝説的な撮影現場に密着した、20年以上前の貴重な映像で構成されるドキュメンタリー映画です。
ファンにとっては垂涎の記録映像である一方、その編集方針には、看過できない大きな矛盾と現代ならではの皮肉が横たわっています。
貴重な記録映像が映し出す「狂熱」の現場
本作の価値は、何よりもまず、今では再現不可能な「村西組」の撮影風景そのものにあります。
コンプライアンスという言葉が存在しなかった時代、CMNFや大胆な野外露出など、常識のタガが外れた状況で次々と作品が生み出されていきました。
その狂熱ともいえるエネルギー、女優たちの覚悟、そして全てを巻き込んで突き進む村西監督のカリスマ性は、まさに圧巻の一言です。
特に北海道ロケで撮影されたという「4時間を超えるVシ-ネマと35本のヘアヌードビデオ」の制作過程は、彼の創作意欲の凄まじさを物語ります。
その多くが絶版となり入手困難な現在、この記録映像の歴史的価値は計り知れません。
ちなみにVシネマ『北の国から 愛の旅路』は、プレミア価格ながら今も市場で取引されている数少ない作品です。
関連商品
北の国から 愛の旅路 - 2001/05/10
1996年、村西とおるが制作した世界初の4時間16分DVD。
主演にミステリアス・K、共演に清水健太郎ら豪華俳優陣を迎え、全編北海道ロケを敢行。
究極の「性のリアリズム」に挑み、愛に生きる女性と夢に沈む男たちの姿を描いた壮大なロマン叙事詩です。
ドキュメンタリを謳う作品にあるまじき「表現の妥協」
しかし、この貴重な映像に、我々は愕然とさせられることになります。
女優のプライバシー保護のため、顔にぼかしが入るのは、時の経過を考えれば当然の配慮でしょう。
ですが、本作の編集はそこにとどまらず、あろうことか女優の「ヘア」にまで、ぼかし修正を施しているのです。
これはドキュメンタリとしての誠実さを著しく欠く判断と言わざるを得ません。
バストやヒップはそのままに、「ヘアだけはプライバシーのために守る」という理屈は、どう考えても道理が通りません。
それはもはやプライバシー保護ではなく、作品の価値を自ら毀損する「表現の妥協」です。
村西作品の核心であったはずの生々しいリアリティが、この一本のぼかしによって無残にも削ぎ落とされてしまっています。
時代の逆行が生んだ 皮肉な現実
この不可解な編集の背景には、公開にあたって過去の出演女性から訴訟が提起されたという、複雑な事情があったとされています。
無事に公開へとこぎつけたこと自体が「奇跡」であり、この妥協は受け入れざるを得ないのかもしれません。
ですが、ここで我々は、あまりにも痛烈な皮肉に直面します。
村西とおるは、ビデ倫の審査を通さない「インディーズビデオ」という手法で、女優のヘアを完全公開し、モザイクを最小限に抑えることでAV業界に革命を起こした人物です。
その規制と戦い続けた男のドキュメンタリが、ビデ倫が消滅し、表現が多様化したはずの現代において、わざわざ自主規制のぼかしを加えて公開される。
これほどの時代の逆行があるでしょうか?
結局のところ、我々はこの矛盾を飲み込み、不完全な形での奇跡に感謝するしかないのかもしれません。
あるいは、いつの日かすべての関係者から許諾を得た「完全版」が世に出ることを、夢のまた夢として待ち続けるしかないのでしょうか…?
本作は村西とおるという稀代の監督の記録であると同時に、日本の映像業界が抱える「表現の自由」の現在地を、残酷なまでに突きつける問題作なのです。







































