基本情報

ヌードギャラリー
吉高由里子
ヌード解説
ヌードを「黒歴史」にしない、稀有なキャリアの幕開け
今や大河ドラマで主演を張る国民的女優、吉高由里子。
彼女がキャリア初期において、一糸纏わぬ姿で文字通り「体当たりの演技」を披露した、初めてにして唯一の主演映画が本作『蛇にピアス』です。
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主演・吉高由里子が演じる紫式部が、藤原道長との心の交流を軸に『源氏物語』を書き上げる一生を描く物語。
本書では出演者・スタッフ27名のインタビューのほか、序盤あらすじ、時代背景、歴史用語、ゆかりの地などを網羅。
ドラマの世界観がより理解できる一冊です。
無名に近い新人がヌードを厭わぬ熱演で注目され、その後トップスターへと駆け上がっていくケースは極めて稀です。
多くはセンセーショナルな話題性で一瞬消費されるか、あるいはブレイクした後年、脱いだという事実を隠したがる傾向にあります。
しかし、吉高由里子はそのどちらでもありませんでした。
彼女はこの作品での鮮烈な覚悟と、役に憑依したかのような演技力をもって、一気にスターダムを駆け上がりました。
そして何より特筆すべきは、本作を「黒歴史」とせず、堂々とキャリアの一部として現在のトップ女優の地位を確立していることです。
その事実こそが、『蛇にピアス』が単なる話題作りのための作品ではなかったことの何よりの証明と言えるでしょう。
なぜ、彼女は脱がなければならなかったのか?
『蛇にピアス』のヌードシーンが他の作品と一線を画すのは、それが物語の核心に触れるための「必然的な表現」であった点にあります。
吉高由里子演じる主人公・ルイは、心に大きな空虚感を抱えた19歳の少女です。
彼女は痛みや身体改造を通してしか「生きている実感」を得ることができません。
ピアスを拡張し、刺青を刻み、他者と肌を重ねる。
その行為は彼女にとって自己を確認し、希薄な他者との境界線を探るための、痛々しくも切実なコミュニケーションなのです。
吉高のヌードは、このルイというキャラクターの無防備さ、危うさ、そして内面の渇望そのものを映し出しています。
それはルイの魂の叫びを視覚化した、芸術的な表現に他なりません。
虚ろな瞳と、すべてをさらけ出した柔らかな身体の対比は、ルイの孤独を鮮烈に際立たせています。
「体当たり」の真の意味
本作における吉高由里子の凄みは、単に脱いだという事実だけではありません。
むしろ、その奥にある繊細かつ大胆な表現力にこそあります。
スプリットタン(蛇のように舌に切れ込みを入れること)に憧れる無垢な表情、身体に針が刺さる痛みと快感が混じり合った恍惚の息遣い、そして愛する人を失った時の、感情が抜け落ちたかのような空虚な佇まい…。
彼女の肌からは、単なる美しさだけでなく、痛みや不安、そしてわずかな希望といった感情の機微までもが伝わってくるかのようです。
彼女はまさに身体のすべてをもって、ルイの痛みと愛、生と死の揺らぎを見事に体現したのです。
今こそ観るべき、魂を揺さぶる傑作
本作のメガホンを取ったのは、シェイクスピアなどの舞台演出で国際的に評価され、「世界のニナガワ」と称された巨匠・蜷川幸雄。
写真家であり映画監督としても第一線で活躍し、代表作に「ヘルタースケルター」などを持つ 蜷川実花を娘に持つ彼が、その鋭利で美しい演出をもって、若き日の吉高由里子、高良健吾、ARATA(井浦新)が放つ危険な輝きを見事にフィルムへ焼き付けました。
現役トップ女優のヌードが見られるという希少価値はもちろんのこと、それ以上に一人の人間の根源的な孤独や、愛を求める普遍的なテーマに心を揺さぶられる作品です。
刺激的な描写も多いため万人におすすめはできませんが、もしあなたが映画に「魂の震え」を求めるのなら、これはまさしく死ぬまでに見ておかなければならない一本だと断言できます。
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蛇にピアス - 2019/06/14
「スプリットタンって知ってる?」そう言って、男は蛇のように二つに割れた舌を出した―。
その男アマと同棲しながらサディストの彫り師シバとも関係をもつルイ。
彼女は自らも舌にピアスを入れ、刺青を彫り、「身体改造」にはまっていく。
痛みと快楽、暴力と死、激しい愛と絶望。今を生きる者たちの生の本質を鮮烈に描き、すばる文学賞と芥川賞を受賞した、金原ひとみの衝撃のデビュー作。
吉高由里子がなぜ唯一無二の女優であるのか、その原点がここにあります。
ぜひ、その覚悟と才能の煌めきを体感してください。













