原作 基本情報
けっこう仮面とは…
エログロ漫画の第一人者・永井豪と、漫画プロダクション・ダイナミックプロによる作品であり、主人公の通称としても知られています。
1974年に「月刊少年ジャンプ」で読み切りが掲載され、1975年より同誌で連載を開始、1978年に本編が完結しました。
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一般的なヒーローは仮面やスーツで全身を覆うことが多いですが、本作の主人公は顔のみ仮面で隠しそれ以外は「すっぽんぽん」という極めて斬新なキャラクターデザインが特徴です。
この衝撃的なビジュアルは多くの読者を驚かせました。
一見すると過激でエロティックな印象を受けますが、作品全体にギャグテイストが強いため少年誌でも許容される表現として成立していました。
単なるお色気コメディにとどまらず、勧善懲悪をベースにした痛快ヒーロー劇の側面も持ち、本格的なアクション描写も見どころの一つです。
また、ギャグも単調にならず、社会風刺やパロディ要素を巧みに取り入れることで、読者を飽きさせない工夫が随所に施されています。
さらに、ヒロインの正体がバレるかどうかというスリルが物語に緊張感を与えており、ストーリー漫画としても非常に優れた構成を持っています。
劇中の悪役たちは毎回彼女の素性を暴こうと躍起になりますが、ことごとくかわされ、正体を突き止めることができません。
読者に明確な答えを与えず、最後まで「もしかして…?」と思わせる巧みな構成が、さらなる人気を呼びました。
あらすじ
舞台は、長野の山奥にある進学校「スパルタ学園」。
そこでは、時代錯誤な教育理念を掲げる教師たちが多く、女子生徒へのセクシャルな体罰が日常的に行われていました。
その体罰がエスカレートし、生徒の悲鳴が響くと、どこからともなく現れる謎の存在…。
その名も 「けっこう仮面」!
顔には目出しの赤いマスクをつけ、正体を隠しながら、なぜか首から下は 完全すっぽんぽん。
その正体は、若い女性であること以外、何も分かっていないのです。
キャッチフレーズは『どこの誰かは知らないけれど カラダはみんな知っている…。』
…といった具合に、
永井豪ならではの過激なお色気描写、ナンセンスギャグ、社会風刺などが融合したバラエティ豊かな作品として知られています。
お色気・ギャグ・アクションが見事に調和した唯一無二の作品であり、世代を超えて今なお多くのファンに愛され続けています。
その人気の証として、漫画だけにとどまらず、これまでに何度も実写化されてきました。
本項では、確認できた実写化作品を完全網羅し、できる限り詳しくご紹介いたします。
シリーズ基本情報
前述のとおり、作品そのものの知名度と人気が高く、さらに 衣装の再現が容易 であることから、これまでに 数多くの実写化 が実現してきました。
けっこう仮面の 独特なコスチューム(?) の関係上、当然ながら ヒロインのすっぽんぽんシーン が多数登場します。
とはいえ、ストーリーの流れの中で 唐突に脱ぐ のではなく、戦闘シーンやピンチシーンで 「自然に(?)」露出してしまう のが特徴です。
2025年時点で確認できる限り、少なくとも 11作の実写化作品 が発表されています。
さらに、それらは ジャパンホームビデオ版、アートポート・1期、アートポート・2期、新生 REBORN の 4つのシリーズ に細分化することが可能です。
ジャパン・ホーム・ビデオ版
1990年代初頭といえば、世は Vシネマ隆盛の時代でした。
そんな中「けっこう仮面」に 最初に目をつけたのが ジャパン・ホーム・ビデオという製作会社でした。
1991年3月22日、記念すべき実写版第1作が発売されると、続けざまに第2作、第3作 も発表され、見事ヒットを記録します。
さすが、Vシネマを作らせたら右に出る者はいない ジャパン・ホーム・ビデオ様です。
低予算ながらも コメディとエロスを絶妙に融合させた、見応えのあるVシネマ に仕上げています。
アクションシーンは素晴らしいの一言でした。
もともと現実離れした漫画作品ということで、アクションの再現は容易ではなかったはずです。
しかも、ほぼすっぽんぽんの状態で戦うため、おっぱいとお尻をいかに多く見せるかがノルマとなる一方で陰部だけは絶対に見せられないという難題も…。
唯一の頼みの綱は、首に巻かれた 深紅のスカーフです。
静止画では絶妙な位置で股間を隠してくれるものの、動画では空気抵抗でヒラヒラと不安定な動きをするため、特定の部分を常に隠し続けるのはほぼ不可能でした。
では、製作スタッフはどう対策を打ってこの局面を切り抜けたんでしょうか…?
正解は……隠さないです!!笑
もちろん、演じる女優には前貼りが使用されていたとは思いますが、どうせ隠しているなら「多少はみ出してもカメラを回し続けよう」と開き直りを見せます。
その結果、すっぽんぽんのまま映ってしまっているシーンが多数確認できます。
前貼りが見えているカットもあるので、探してみるのも面白いかもしれませんね。
アートポート・1期
ジャパン・ホーム・ビデオによる「けっこう仮面」シリーズの最終作が発表されてから約10年――。
2003年アートポート制作のもと、実写版「けっこう仮面」が蘇ることになります。
ちなみに、アートポートは「青春Hシリーズ」「完全なる飼育シリーズ」「エロス番長シリーズ」など、数々の優良ヌードコンテンツを世に送り出した映画制作会社です。
そんなアートポートなら、「けっこう仮面」もいい感じに料理してくれるだろうと期待していました……。
が、現実はそう甘くありませんでした…。
けっこう仮面しか脱がないということが、アートポートシリーズの最大の欠点です。
けっこう仮面のヌードが最大の見せ場であることは間違いありません。
しかし、そこにフォーカスを当てすぎた結果、他の要素が疎かになってしまった…ということは考えものです。
例えば、拷問じみた体罰を受ける女子生徒という絶好の「脱がせシチュエーション」を、うまく活かすことができていません。
加えて、主要キャストにほしのあきを起用したものの、彼女は脱ぐ覚悟もないペニオク女優です。
「とりあえずけっこう仮面だけ脱がせておけばいい」という浅はかな考えで作られたこの作品は、ファンにとって裏切りに近いものだったのかもしれません。
アクションシーン自体は及第点とも呼ぶる内容です。
すっぽんぽんで飛んだり跳ねたりする姿はしっかり確認できます。
ただ、ジャパン・ホーム・ビデオ版が「前貼りが映っても気にしない!」というスタンスを貫いていました。

股間キラキラ演出 ©海賊チャンネル
対して、本シリーズでは「股間が映りそうなシーンには逆光のキラキラフラッシュを入れる」という演出が採用されました。
この手法は、その昔放送されていたお色気バラエティ番組・海賊チャンネルのティッシュタイムでも見られたものです。
とはいえ、前貼りが安易に映り込むと興ざめしてしまう視聴者も多いことを考えれば、苦肉の策だったのかもしれませんね…。
しかし、せっかくフィクションの世界で真剣な戦いを繰り広げているのに、メタ的とも取れる演出を挟むのはどうなのか――。
そう感じるファンも少なくなかったことでしょう。
けっこう仮面の実写化における課題が、明確に浮き彫りになったそんなシリーズでした。
アートポート・2期
該当作品
2006年、アートポートによる「けっこう仮面」シリーズのリメイクが実現しました。
本作は三部作構成となっており、展開や内容からも最初から三作品を制作する前提で計画されていたことがうかがえます。
最大の特徴は、シナリオのテンプレート化が徹底されている点です。
三作品とも、おおまかな流れがほぼ共通しており、以下のような構成が定着しています。
・オープニング:簡単な舞台設定の紹介。
・ヒロインの受難:テストで失敗し、磔にされてお仕置きされる。
・けっこう仮面の登場:ザコ教師を退治。
・事件発生:けっこう仮面以外のキャラクターによるサービスカット。
・茶番シーン:「夜霧のマミー」の披露。
・クライマックス:ラスボスとけっこう仮面の対決。
・エンディング:無事勝利し物語が締めくくられる。
もう一つの大きな変化として、派手なアクションをほぼ撤廃した点が挙げられます。
原作や過去作では、けっこう仮面は軽快な動きで敵を翻弄するキャラクターでしたが、本シリーズではその要素がほぼ消えています。
理由の一つとして、衣装の問題があると考えられます。
第一期では、けっこう仮面の「ヒラヒラのスカーフで大事な部分を隠す」という特徴的な演出がありましたが、その処理として使用されたキラキラモザイクが不評だったため、新たな対応策が必要になりました。
アートポートが出した結論は、「そもそもけっこう仮面をあまり動かさない」というもの。
結果として、アクションシーンでは上半身のカットのみで動きを表現し、全身が映る場面ではほぼ静止状態。
スカーフもなびかず、臨場感に欠ける仕上がりになっています。
斬新な試みではあるものの、「それは本当にけっこう仮面なのか?」という疑問が拭えません。
どうせ見せられないから省略するのではなく、「どうやって隠すか」を工夫することこそが、実写版「けっこう仮面」の醍醐味であることに気付いてほしかったところです。

戦闘アクションシーンは、ほぼ上半身のみで表現

寧々、範田紗々

高崎もえ、rico、花野心
キャスト面では、当時人気のあった寧々や範田紗々を主要キャラクターに起用し、単なる脱衣シーンであっても丁寧に撮影されています。
さらに、花野心、RICO、高崎もえの三人が「脱ぎ要員」として全作に出演しています。
第一期の課題であった「けっこう仮面以外のヌードシーンの不足」は、ある程度解消されている印象を受けます。
けっこう仮面の正体については、これまでの実写作品では原作の流れを踏襲し、「視聴者にも明かされない」という構成が一般的でした。
しかし、本シリーズでは最初から正体がバレバレの演出となっており、最終作『けっこう仮面 フォーエバー』ではネタバレとして正体が明示される展開に…。
おそらく伏線回収と物語の「キレイな締めくくり」を意識した演出だったのでしょうが、「けっこう仮面」においては、むしろ最後まで明言せずに終わる方が正解だったのではないかと思われます。
人気コンテンツを扱う以上、細部までこだわってほしかったというのが正直な感想です。
ヌードシーンのクオリティ自体は及第点ですが、本筋の魅力を十分に引き出せていたかという点では、やや物足りなさが残ります。
新生 REBORN
2012年に劇場公開された、完全新作の実写版「けっこう仮面 - 新生 REBORN -」。
これを足掛かりに新シリーズ化されることが期待されていましたが…現在に至るまで続編は実現していません。
満を持して新時代に蘇ったけっこう仮面でしたが、興行的には振るわなかった模様です…。
本作の特徴の一つは、過去作と比較しても最高クラスに激しいアクションシーンです。
これは、Vシネマ作品とは異なり、スクリーン上映を前提として制作されたため、アクションのクオリティに対する意識の違いが表れている部分でしょう。
ただし、原作や過去シリーズのようなポップで笑えるコメディ要素はほぼ排除されており、代わりにオリジナル要素が大幅に追加されています。
主人公の基本設定──「すっぽんぽんで仮面のみを着用するヒーロー」というコンセプトは踏襲しているものの、それ以外の設定やストーリーの雰囲気は大きく変化しています。
終始シリアスな構成が貫かれており、原作の持つギャグテイストとは大きく異なります。
また、「すっぽんぽんで戦うこと」に対して周囲から揶揄され、けっこう仮面自身が陰で葛藤する描写も見られます。
この点については、従来の作品とは方向性が異なり、「けっこう仮面らしさ」が薄れてしまった印象を受けました。
正直なところ、「自らのスタイルに疑問を抱くけっこう仮面」は見たくなかったな…というのが本音です笑。
さて、本作のもう一つの見どころであるアクションシーンですが、気になるのは「前貼り問題」についての処理方法です。
ジャパン・ホーム・ビデオ版と同様に、激しいアクションの中でスカーフがはだけるシーンは幾度となくあります。
しかし、そこは演出で巧みにカバーされています。
具体的には…
・逆光や暗い部屋での戦闘シーンを多用し、シルエットでぼかす。
・影を効果的に使い、見せるべきでない部分を自然に隠す。
…といった手法が取られており、意図的に「ギリギリ見えそうで見えない」状態を作り出しています。
この点に関しては、演出次第でどこまで誤魔化せるのかを証明した作品とも言えるでしょう。
Vシネマが全盛だった時代とは異なり、本作が公開された時期にはすでに映像作品における規制や表現の許容範囲も変化していました。
現在では、マイナーな邦画タイトルでヘア解禁したところで大きな話題にはならない時代。
だからこそ、「もしかしたら見えているかも…?」というギリギリの演出を戦略として活かしていたのかもしれません。

『新生』作品で、映像実験を敢行。
けっこう仮面

作品名 | けっこう仮面 |
公開日 | 1991年 |
監督 | 早川光 |
出演 | ?、ポール牧、山本昌平、青木クリス、モロ師岡、プリティ長嶋、後藤宙美、華井すずみ、渡辺路恵、沢村美由紀、松竹梅、関根勤 |
ヌードシーン集
けっこう仮面2

作品名 | けっこう仮面2 |
公開日 | 1992年 |
監督 | 秋山豊 |
出演 | ?、中野理恵、朝岡実嶺、青木クリス、松居千佳 |
ヌードシーン集
けっこう仮面3

作品名 | けっこう仮面3 |
公開日 | 1993年 |
監督 | 秋山豊 |
出演 | ?、桂木亜沙美、吉岡真由美、高橋真由美、松居千佳 |
ヌードシーン集
けっこう仮面 MASK OF KEKKOU
ヌードシーン集
けっこう仮面 マングリフォンの逆襲
ヌードシーン集
けっこう仮面 RETURNS
作品名 | けっこう仮面 RETURNS |
公開日 | 2004年10月31日 |
監督 | 長嶺高文 |
出演 | ?、未向、ほしのあき、石丸謙二郎、内田有美、大島信一、宇佐美なな、小島美香、小宮隆児、田中麻衣子、山田太一、芳野友美、坂本あきら |
ヌードシーン集
けっこう仮面 SURPRISE
ヌードシーン集
けっこう仮面 ロワイヤル
作品名 | けっこう仮面 ロワイヤル |
公開日 | 2007年5月25日 |
監督 | 鈴木浩介 |
出演 | 小澤マリア、北村ひとみ、寧々、範田紗々、大堀こういち、くまだまさし、森下能幸、ノッチ、日高ゆりあ、@you、高崎もえ、rico、花野心、沢村あおい |
ヌードシーン集
けっこう仮面 プレミアム
作品名 | けっこう仮面 プレミアム |
公開日 | 2007年6月22日 |
監督 | 鈴木浩介 |
出演 | 小澤マリア、北村ひとみ、寧々、範田紗々、坂本真、ノッチ、大堀こういち、谷川昭一郎、加藤トモヒロ、高崎もえ、rico、花野心 |
ヌードシーン集
けっこう仮面 フォーエバー
ヌードシーン集
けっこう仮面 新生 -REBORN-
ヌードシーン集
まとめ
結局のところ、ジャパン・ホーム・ビデオもアートポートも、いまだに「けっこう仮面」シリーズを代表作として推していることからもわかるように、この作品が持つ“バカらしさ”も含めた独自の魅力には、やはり看板作品たりうるだけのポテンシャルがあることは否定できません。
どう謙遜しても目を引いてしまう――それが「けっこう仮面」という作品の宿命であり、強みです。
その、否応なしに注目を集めてしまう特性こそ、もっと積極的に活かすべきだと感じます。
…とはいえ現時点では、「けっこう仮面」の魅力を存分に活かしきった実写化作品は、残念ながらまだ存在しないというのが実情です。
しかし、もしも最新の映像技術を取り入れ、さらに面白く洗練された脚本と、役柄にぴったりの女優さんが揃えば――。
イロモノB級作品として片づけられがちなこのシリーズも、あるいはまったく新たな評価を得られるかもしれません。
たとえどう頑張っても“正統派”作品にはなり得ないという宿命を受け入れ、それでもなおそこに投資する価値を見出してくれる制作会社や出資者の存在が不可欠となるでしょう…。
「けっこう仮面」は、まだ終焉させるにはあまりにも惜しいコンテンツです。伸びしろは無限大です。
宙ぶらりんのまま眠らせ人々の記憶からゆっくり消えていくのを待つだけ…なんてことだけは絶対にあってはいけません!
題材に悩んでいる制作会社様、映画監督の皆様がいらっしゃいましたら、どうか「けっこう仮面」実写版最新作の企画をご一考いただければ幸いでございます。
実写化の最新情報が入り次第、当サイトも微力ながら全面的にバックアップさせていただく所存です。
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