基本情報
作品名 | うつしみ |
公開日 | 2000年12月16日 |
監督 | 園子温 |
出演 | 鈴木卓爾、澤田由紀子、津田牧子、桜居加奈、幸野賀一、銀治、飯田まさと、森山知之、ジーコ内山、笛木一司、杉山正弘、矢田真三彦、濱口圭子、荒木経惟、麿赤兒、荒川眞一郎、大駱駝艦 |
ヌードギャラリー
澤田由紀子
津田牧子
アラーキーに撮られる女性達
ヌード解説
愛知県の美術館、愛知芸術文化センターが1年に1本の映画を制作・発表する「オリジナル映像作品」の一環として、1999年に発表された作品です。
テーマは「映像における身体とは何か」。
当時まだ無名に近かった新進気鋭の映画監督・園子温が、3人の芸術家のドキュメンタリーと愛のドラマを交錯させるという、非常に実験的かつ挑戦的な内容となっています。
当初はごく限られた公開にとどまりましたが、その過激な内容が注目を集めたこと、さらに園子温が有名になったことで再評価され、現在では彼の代表作の一つとして広く知られるようになりました。
荒木経惟によるヌード撮影シーン
本作には、芸術家のドキュメンタリーとしての側面もあり、その一人として写真家・荒木経惟(アラーキー)が登場します。
官能ポートレートの第一人者として名を馳せた彼の撮影風景が収められており、当然のごとく女性のヌード撮影シーンも収録されています。
これは本作における最大の見どころの一つと言えるでしょう。
13名の女性が挑む大胆なヌード
実に13名の女性が、アラーキーに写真を撮ってもらうため、スタジオで大胆なすっぽんぽんを披露します。
その中でも注目すべきは、劇団ナイロン100℃所属の舞台女優・澤田由紀子です。
本作の主演女優にあたり、全編にわたり登場します。
各シーンで大胆な演技を披露する中、アラーキーによる撮影シーンでは美しいすっぽんぽんをさらけ出し特に印象的な場面となっています。
また助演の津田牧子も、体当たりの演技を見せ、躊躇なくヘアヌードを披露しています。
この二人をはじめ、出演者は全員オーディションで「脱げる」と発言し、映画出演を果たした女性たちです。
おそらくスタッフロールに出てくる、この方々がヌードを披露した女優さん方です。
美しい若い女性から、中年女性、ふくよかな体型の女性まで、様々なヌードが確認できるのも興味深いポイントです。
決して女優然とした容姿ではない女性たちの存在が、美人の引き立て役やリアリティの強調に一役買っています。
ヌード撮影の芸術性とアラーキーの撮影手法
本作のヌード撮影シーンは、単なる「ヌード写真の撮影風景」ではなく、アラーキーの独特な視点が反映された、生々しくも芸術的な映像となっています。
彼は被写体に語りかけながら撮影を進めることで知られていますが、その撮影スタイルは劇中でも忠実に再現されており、モデルとの距離を詰めながら瞬間を切り取る姿が映し出されます。
単に「すっぽんぽんを美しく見せる」ことが目的ではなく、被写体の感情やその場の空気感までも切り取ることを重視した撮影となっています。
ヌードモデルたちが最初は緊張しつつも、徐々にアラーキーのペースに引き込まれていく様子がリアルに描かれ、単なる官能描写ではなく「写真を撮る」という行為そのものがドラマとなっています。
彼の語りかけや、モデルとのアイコンタクトが、「撮る/撮られる」の関係を超えた「人間同士の対話」に見える瞬間もあり、この点が一般的なポルノ映画とは一線を画すポイントになっています。
映像美とアラーキーの写真が生む独自の世界観
また、本作は「リアルなヌード撮影の空気感」をそのまま映し出している点でも、非常に貴重な作品です。
園子温の映像とアラーキーの写真が融合することで生まれる独特の美意識は、映画ファンのみならず、写真や芸術に興味がある人にとっても見どころが多いでしょう。
芸術としてのヌードの価値
結局のところ、ヌードは美しいという大前提のもと、その魅力を損なわないように演出されていれば、すべてOKです。
大胆なヘアヌードでも「芸術」として押し通せば、被写体である女性の羞恥心や抵抗感が軽減され、また審査団体の規制も緩くなります。
現代の規制社会において、芸術はヌードを余すことなく堪能できる最後のジョーカーであると改めて実感させられる作品でした。